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双生児
〜ある死刑囚が教誨師にうちあけた話〜
江戸川乱歩

あらすじ

三万円を盗んで死刑となったこの男は、過去にも人殺しをしたことがあると教誨師に語る。 それは瓜二つの双子の兄を殺して、兄になりきり兄の妻すら騙し、鏡に映る自分を「兄の呪い」と怯えながらも窃盗、さらには人殺しまでして罪を重ねていったことを懺悔する話。

テーマ

醜い自己肯定力

矛盾
現実味

 兄と自分で別の存在と捉え、自分の罪は兄や親のせい、兄に成りすましていた時の罪は宙に浮いた「弟」のせいにし、どこかに罪をなすりつけ続けている語り手の死刑囚。鏡に映る自分の姿に苦しめられる姿すらそれによって罪を償ってきたと思い込んでいるのではないかと思うほどの甘い考えをテーマにしました。

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