第17回コンタクト展の開催によせて
名古屋学芸大学デザイン学科の「コンタクト展」は、2004年のスタート以来16回を重ねてきました。17回目の今年、2020年は初の試みとして「webコンタクト展」として開催いたします。
本展覧会は、社会とのコンタクト(接触・ふれあい)を目的とした展覧会です。卒業後の社会参加を具体的に考え始めた3年生が、作品やポートフォリオを通して自らのデザインを世に問います。昨年までは学生本人が展示作品の前に立ち、鑑賞者と対面して会話を重ねてきました。
これを書いている2020年8月10日、愛知県には新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止のため、緊急事態宣言が出されています。21世紀のパンデミックは世界中に拡がり、多くの人と展示空間を共有することは困難な状況となっています。皮肉にも直接の「コンタクト」を禁じられた私たちは、学生それぞれのポートフォリオをインターネット上に構築することにしました。それら80余のサイトを束ねた総体が「第17回 webコンタクト展」となります。
デザインとは問題を発見し、問いを設定し、その解決を図る一連の行為です。本学科では専門的な知識や技術に加えて、「協調性」「企画力」「表現力」「展開力」「コミュニケーション能力」の修得を目標としていますが、これらは社会で活動するための職能であり、知識や技術を使ってデザイン行為を編み上げる源なのです。 Webの展示でどのように見せるのか。どのようなやりとりが生まれるのか。空間や時間の制約を超えた時、どんなことが可能になり、新たに何が問われるのか。初めての試みを通して、私たちはやはり「デザイン」をしています。webの利点を存分に生かし、例年の会場展示に来場いただけない方にも、広くご観覧いただきたいと思います。
そして新しいコミュニケーションから活発な対話と交流が生まれ、忌憚のないご意見やご感想が届くことを切に願っています。新しい「コンタクト(接触・ふれあい)」の場を、どうぞ巡ってください。
名古屋学芸大学メディア造形学部デザイン学科 教員一同